観た!

観客。

ザ・シムズ3 幽霊の子供のいる町

さて、死なない老人プラス・ダグラスとその息子生まれながらの幽霊ジョニー・ヨーデルの顛末であるが。
※写真はジョニーと幽霊娘ジャニス



計画通り、まずジョニーをエトワールの友人にして「引っ越してくるように言」わせ、エトワールをプレイヤーの管理下に置く。
エトワールに適度に「生命の果実」を摂らせながら、「年を取るのを有効にする」と、成年初期だったはずのジョニーが、一気に老齢に。その後10日たっても、同級生のエリザベスに変化がないので、どうやら年齢もバグったかな。


じつは早く年を取るバグはほかでもあった。エトワール姉弟の母、ラーギニーが、夫よりだいぶ早く老齢になった。夫は園芸家だったので、知らないうちに生命の果実を食べてたのかな? と思ったのだが、姉のラウラは余裕でまだ成年だったので、ラーギニーがバグったのだと思う。


プラス・ダグラスはおかしい。「年を取るまでの時間 なし」という表示自体が、普通の老齢期にはない(「老齢 90日」とかでしょ?」。
さらに、動けばふつうに空腹になったりねむくなったりするのだが、メーターが真っ赤になっても、本人も左のプロフィールも平然としている。
うーむこれは……と思い、ちょっと「神の手」によりお亡くなりになっていただいた。


プラスが死ぬと、問題は解決!
「町の編集」にも行けるし、引っ越しも選択できるようになった。
やはり何世代も生き抜いたプラス君が元凶であったらしい。
お墓を庭に置いておいたら、普通に幽霊になって出てベッドで昼寝していた。それを確認してから、墓を削除させていただきました。バグったもとなので、昇華するのが得策かと。安らかに天に召されてください。
「死神が家族の一人を連れて行こうとしています」は、プラスのことだったと思われる。
すると彼はその状態のままで何世代分も経過しちゃって、まあいわばゾンビ化していたわけで……成仏させてあげたのも善行と。
で、ゾンビ状態でも子供が作れてしまい、それが「幽霊の子供」ジョニー誕生の原因だったと推理してみる。


その後、ジョニー・ヨーデルは幽霊型の老人として元気に生きている。
ふつうの幽霊とちがうところは、移動するときにちゃんと「歩く」ところだ。壁は抜ける。話すと反響する。
無職で人間関係も希薄なジョニーに、ちょっと「人生」を味あわせてやろう。
医者になりたい願望が出ていたので、医療関係に就職させてみる。幽霊の医者ってちょっといい。


それから、リンジー・ゴスが恋愛対象になっていたので、ゴス家を訪れて「赤ちゃんを作る」。
息子サルバトール・ゴスが幽霊状態で誕生。
おおー。操作家族ではないのでシステムが付けた名前だけど、いい命名をしてくれた。


リンジー系図データが壊れていて、サルバトールもジョニーからは見えるが本人の系図は表示されない。
そのため、ブリーダー気質が刺激されてしまって、系図が作れる幽霊の子供がほしいなあと、ほとんど友人がいないなかからメイドのコルトニーと結婚して子供と作ってみた。
娘ジャニス・ヨーデル、幽霊状態で誕生。
(あとで持ち物を観たら、自分の墓石を持っていました。死産?という考え方もできるけど、ゴースト・ベビーという変種と考えた方が楽しいので、そっちで)。


かくして、「幽霊の幼児」「幽霊の赤ん坊」がいる町になりましたとさ。
またバグの原因になるかもしれないけど、ブリーダー気質抑えがたくっ。「新しいデータとして保存」をまめにやることを誓います。


エトワールくんは、無事ランドグラーブ本家の次女と婚約。分家を通すか本家に入るか、思案中。
めでたしめでたし。


ザ・シムズ3 通常版

ザ・シムズ3 通常版

ザ・シムズ3 アンビション データセット

ザ・シムズ3 アンビション データセット

ザ・シムズ3 事故った!

komugiko00は、いわゆる「ゲーマー」にあたるかどうかは不明である。少数の限られたゲームをいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも……、やる。寝食を忘れて、というほどではないが、けっこうな長時間やってしまう。


その「少数の限られた」の一つが、「ザ・シムズ」シリーズである。
最初の「シムピープル」のときに人から借りて(それはこちらの興味と言うより、相手の興味にひかれて)、けっこうはまった。そのあとPS2版をやったが物足りなく、次のPC版「ザ・シムズ2」で完全にはまった。
なぜはまったかと言うと、ここから「成長」「遺伝」が入ってきたのだ。
はまったゲームの中に、AQUAZONEの「グッピー」があった。それこそ、繁殖させて尾の色の遺伝を楽しむゲームだったわけだが。
家を作るのも好きである。


このゲームをしていると、shinbashiが、「それ、なにしてるの?」というから、「生活している」と答え、「それの何がおもしろいんだ?」と言われたことがある。まあ、そらそうだ。もっともshinbashiはそもそもゲームにまったく興味がない。PCゲームも、マージャンも、だ。


で、「ザ・シムズ3」は、町の中を自由に走り回れるということで、大変魅力的だったのだが、PCが過負担で、2でさえしょっちゅうフリーズしていたので、我慢の日々。この春PCを新しくしたので晴れて3に!
おお〜、楽しい。
やっぱりガーデニングがいいよね、と言いながら、せっせと家系図を伸ばし、町の何家と何家を縁戚関係にして……という、これもshinbashiには、わかってもらえそうもない楽しみ方をしていた。


それが、先日、事故が…。
(ここからさきは、「ザ・シムズ3」をプレイしている人にしか通じません)。


事故そのものに触れる前に、「ダグラス家」の歴史に触れよう。
3では、発明家がシムボットというロボットらしきものを作ることができる。サイボーグかなあ。
まあ見た目はロボットで、でも人間のように性別があり、眠り、仕事をし、寿命は少し長く……。
である。よそのサイトを見ると、「恋人・結婚は可能だが子供はできない」と書いている。


んで、わが発明家アレクサンダー・イチバンが作ったシムボット、ダンテ・イチバン(♂)を、操作家族から独立させておいたら、いつの間にかダグラス家の女性と二人で住んでいて、いつの間にか娘が生まれていた。
この娘は操作家族の子供たちと同世代で、小学校の同級生で、一緒に宿題をやっていたりした。
見た目は人間だが、「歩き方」がシムボット、「話し方」(?)もシムボット、周りの人に嫌がられるのもシムボット。
操作家族にしてみたかったが、当時操作していたイチバン家の方に不具合を生じたくなかったので、静観。
だが、両親が早めに亡くなって、一人でいる彼女がちょっとかわいそうだったので、気のいいイケメン、プラスくんをその家に配置してみたら、勝手にラブラブになって結婚していた。でも子供はできなかった。


で、あまりこの家族を確認していなかったら、彼女は亡くなって、プラス・ダグラスくんだけが、幽霊になって家に住んでいた。あれれ? と思ったが、けっこう何世代にも渡ってダグラス君は生きている。
それどころか、そこに生きた女性が同居している、と思ったら。
アレクサンダーの5代あとの子供たちが小学生のころ、町を自転車で疾走する幽霊の子供を見た。
その子の名はジョニー・ヨーデル。父はプラス・ダグラス。
どうやら幽霊として生まれてきたらしい。


ちなみに、このころイチバン家はランドグラーブ家の分家と婚姻して、イチバンの姓は消えて、アレクサンダーの子孫はエリザベスとエトワールの姉・弟。
エトワール・ランドグラーブがとても気にいったルックスなので、いつまでも生かしておこうと楽しみにしていたが、エリザベスと同世代のジョニー・ヨーデルがちゃんと大人になっているのが気になった。
ちなみにジョニーは、小学校からエリザベスの同級生で、一緒に宿題をやったり遊んだりしていたのだが、本人がいないときには「人間関係」の一覧に表示されない。本人に会っているときは、「親友」になっている。成長するけど幽霊扱いなのだ。


そこで思い切って、操作家族をダグラス=ヨーデル家に変えてみた。
すると、プラス・ダグラスは実体の状態で、ただ、老齢MAX(「残り日数 なし」)になっている。だが引退せずに現役消防士。ジョニーは幽霊状態で無職。
父プラスは息子ジョニーを見て「幽霊だ、やだ」反応をするし、二人の関係性はゼロ(^^;

しばらく様子を見ようと思い、セーブしようとしたら、
「家族の一人が死神に連れていかれようとしているときはセーブできません。それでもセーブしますか?」と出た。
そういわれるとなんかセーブしたくなって、した。
ってかどっちが死に神に連れていかれそうなんだろう、とか思いながら。
で、「町の編集」に行こうとしたら、「だれかが死に神に連れていかれそうな間は町の編集には行けません」


ええええーーーー!!
最愛のエトワールのもとに戻れなくなってしまった。
彼は今、姉夫婦と、幼児期の姪といっしょに暮しているわけだが。
幽霊家は「引越しする」の選択肢も無し。つまり削除もできない。


考えた末、たぶん、唯一の対策と思われるのが…。
エトワールとジョニーを友達にして、ジョニーがエトワールに「引っ越してくるように言う」。
それから、「年を取る」設定にして、プラスさんとジョニー君にめでたくお亡くなりになっていただき、エトワールだけには生命の果実を摂取しまくってもらって、ちゃんと生き残れば、「町の編集」に行けるはず。
まあ、エトワールは若年初期、ジョニーは成年に入ったところなので、エトワールはふつうに無事かもしれないけど。
エトワールも大事だが、ジョニーがどうなるかもまだ興味があるので。


以上、「新しい町として保存」の習慣がないゆえの痛手であった。


ほかにシムズ3をプレイしている方のところにも、「シムボットの子供」や「成長する幽霊」はいるのでしょうか。



ザ・シムズ3 通常版

ザ・シムズ3 通常版

キング・オブ・コント 2011

23日にあることを忘れていて、テレビをつけたらロバートの1本目の最後のところだった。
一つだけ高得点だったから、これまでと格段に違うネタをやったのかなー、と思いながら続きを見ていた。


komugiko00的優勝は2700。2位インパルス。かな。


ネタ別に行くと、別格に好きなのがあった。
2700の2本目。キリン・レシーブ。

どこがどうおもしろいのかと聞かれたら、この説明してしまうのが弱点なkomugiko00としたことが答えに窮してしまうのだが、shinbashiともども硬直しそうに「好きっ」だった。
最初のところでキュっとつかまれ、あとは一瞬たりともたるむことなく細部まですみずみまで好きだった。


同順2位が三つ。
モンスターエンジンの1本目。ミスターーーーーー、メタリックっ。
ラブレターズ1本目。ニシオカちゅうがっこー。
インパルス2本目。就職の面接。

鬼が島の1本目、TKOの2本目も、とりこぼしありつつおもしろかった。

で、二本ともレベル高かったのが、komugiko00的には2700とインパルスだったのだ。
ロバートは、見ていない1本目はおもしろかったのだろうけど、2本目は、ないわ。


◆2700
1本目を見たとき、「磨きがかかった」「抜けた」と思った。以前と同じ形式のネタなのだけれども、だからこそリズムや動きや反復する言語の緻密な完成度がわかった。完成度が高いからこその「バカ」。
2本目は、今風にいうなら、「神」。説明はもとめないでほしい。あたしにはおもしろいんだよっっ。
こんな笑いの境地に到達したか、到達して、見せてくれたか……うれしいっ、ってかおもしろいとにかくおもしろい。
ライブ行きたくなった。少なくともDVDはほしい。


◆インパルス
これも、「抜けた」もしくは「戻ってきた」と思った。
かつて最初にインパルスを見たときに受けた鮮烈な感性が、ね。その後エンタやはねとびの番組方針に汚されてしまったので却下していた。
今回は、これがインパルスだよね、という絶妙なバランスの上に成立した笑い。


モンスターエンジン
今日テレビで爆笑の太田が、「神々の……」のネタを「名作」と呼んでいたけど、そのとおりだね。あれは大好き。何度見ても好き。
ミスター・メタリックは、最初はどうなることかと思いつつ、一回ごとの無駄のないアホさに引きこまれ、最後もきっちり落ちてた。
2本目は、アイディアはいいけどまとまらなかったね。ラストも、ないわ。ひねれよ。


◆鬼が島 ラブレターズ
まとめて言います。いいたいこと同じだから。
どちらも1本目は、それぞれの「特性」がきちんと研磨されてできたネタ。おもしろかった!
2本目は、単に、ネタ作りがヘタクソだってもの。力量の不足・不安定がわかった。
特性が生かせるといいね。


◆TKO
安定している。でも新鮮味がない。ベテランらしい両刃の剣かな。
2本目の木下の役は非常に面白いキャラクターだった。でも(いつもながら)というべきか、一本のネタとして「まとめあげる」ことができないんだよね……。


◆ロバート
2本目だけね。
じつはロバートで笑ったことがあまりない。瞬間的には笑うけど、ネタ全部見終わって、おもしろかった、面白い芸人だ、って思わない。
まあ、身もふたもなく言えば、komugiko00とshinbashiの好みの芸人ではないとしか……。
ネタはよく練られていると思う。三人の演技もうまいと思う。そういう客観評価はするが、おもしろくない。
「裏切り」がないんだよね。「これがおもしろいことだ」と彼らが思っていることをずーっとやっているだけ。
で、2本目に関しては、そういうロバートだった。
とくにkomugiko00は、秋山が演じたがる「変な人」が、キライなのである。お笑いにヘンな人はつきもの、でもあのヘンは嫌い。
ラーメンズをここで持ち出すのもどうかと思うが(^^;、くらべて一番歴然とするので。ヘンな人への「たのしい」「おもしろい」「かわいい」「しぜん」といったまなざしが、「めんどくさい」と同居しているかどうか。ということ。それこそ「変なおじさん」なんかヘンな人へのリスペクトと言っていい。それが感じられないのだ。
変な人を演じたがるインパルス板倉、フルポン村上にはそれがあると思う。
まあ、komugiko00がそう思うだけかもしれないが。あ、エンタとはねとびでインパルスが嫌いだった時期もじつは板倉のヘンに、リスペクトが欠けてたんだよね。(あれは番組の方針であって、インパルスのライブを見てあげなきゃいかんと思っているが)。
ようするに、クラスのうざい子をターゲットにしてみんなで陰口やあてこすりを言ってくすくす笑っている醜い「楽しみ」を味わいたがる客がいて、スタッフが「そーらこういうの好きだろ」ってそれを構成し、芸人にやらせ、ほーら受けた、客なんてこんなもんだ……っていう。
話しがそれた(^^

ともかくロバートに関しては、あとでどっかで1本目を見てあげないと、フェアじゃないよね。




まあ、そういうわけで、キングオブコントで初めて、「優勝者に納得がいかない」事態になったわけだ。
まあ、あるよね、そういうこと。


ちなみに、いままでの歴代の中でキング・オブ・キングスを選ぶなら、文句なしに「キング・オブ・コメディ」でしょう。


花で嵐を踏み越えて ?


先日、知り合いのロシア人に久しぶりに会った。
超日本語うまい、いかした姐さんである。

曰く、
「嵐が観光大使って世界に日本への誘致ビデオ流したっていってけどね、アジア向けならいいけど、欧米だったらふつう嵐なんか知らないし、効果ないと思う。キタノとかオザワとかならわかるけど」
と言っていた。

だろうな〜。彼女は言わなかったけど、だいたい貧相な黄色い子供じみた男どもって時点でふつうの欧米人はぴんと来ないだろうな(日本おたくだけにアピールするならべつだけど)。

そのときは、じゃあキティ・ドラえもんポケモンでどうだ? と思ったのだが…

あれ? 急遽女子サッカーチームで簡単でいいから作ったら? と。
サッカーは世界的スポーツだし。
一人一人の選手のことを知らなくても、黄色いチビの♀猿どもがなんかやっちゃったらしいよぐらいのことは、少なくとも「嵐」よりは通りがいいだろうから。

舞妓さんの映像と女子サッカーの映像かぶせて、ヤマトナデシーコとかいう安易なもんで十分だと思う。

草なぎ剛という役者


アイドルグループとしては、そろそろ嵐に世代交代の感のあるSMAPだが、個々を見たとき、SMAPはそれぞれが持ち味のあるいい俳優がそろっていると思う。


中でも草なぎはある種傑出しているかもしれない。


komugiko00とshinbashiの間では、彼のことを「心の無い人」と呼んでいる。
「心無い」という慣用句とは違うので誤解のないよう。
なんというか、神経が何本か抜けている。ジャニーズに入ったばかりのころ、あの東山をして「この子はだいじょうぶなのかな?」と心配させたという、ある種のバランスの欠けた無神経ぶりがある。
まったくのイノセントな神経のなさ。


だから、心が無いから、そこにすっぽり役柄が入るんじゃないかと思う。


以前、草なぎがドラマ主演中に、香取慎吾が番組取材でセットに訪れたことがある。
セットに入り、「いつもここでやってるんだー」という感じで見て回り、「ここに座ってあのシーンやってよ」と、普通で考えれば少々な無茶ぶりをした。
草なぎはすぐさまそこに座り、もう顔つきが変わっている。
さすがの慎吾が、「もう入れちゃうの?! もう?!」と言っていた。
なんていうかこう、サンダーバード2号のように、胸がそもそも空洞で、そこに「役」というカートリッジをパコっとはめこんだように、入れてしまうのだ。


唐沢寿明が、中村勘三郎との対談で、ジャニーズ馬鹿にしたもんじゃないと語っていた。
曰く、俺ら役作りとか言って何か月もかけて集中して作り上げてってやってるじゃない、でもジャニーズの連中は、さっきまでバラエティでワーワーやってて、そのままやってきてすぐに撮影に入れる、入ってそれで生半可なもんじゃない、ちゃんとした演技ができる、あいつら馬鹿にしたもんじゃないって。


草なぎなんかその最たるものだろう。


無神経だからいい演技ができるとして、もしかしたらアレと似ているところもあるのかも。
篠井英介がガートルードを演じたときに言っていた言葉。
「この役はいろんな女優さんがいろんな解釈や思い入れで演じてきた。でも、シェークスピアが書いたときは、『女なんてこんなもの』という程度で書かれたんじゃないか。女優でなく女形だから、そこを思い入れ抜きで演じることができると思う」
このガートルードは絶品だった。


草なぎは篠井ほどの意識さえ無い感じがする。


とかかねがね思っていたら。
これもずいぶん前になっちゃうけど、映画『山のあなた〜徳市の恋』の宣伝番組での話だ。
共演した堤真一が、同じようなことを言っていた。もうちょっと表現には気を使ってたけど(^^;
草なぎ君はとてもピュアで、心の中に余計なものがない感じがする。その何もないところに役柄がすっと入っていく。特異な役者さんだと思う。


ををっ。共演者がいうだから、ほんとうにそうなのだろう。


今後も「心の無い」演技を見たいものだ……っていうか、彼が変わることは決してないと思う。


※ところで、『ヒルズに恋して』改め『恋に落ちたら』は、shinbashiがはまって見ていたが、あの主人公のイノセンス、善意にも営利にも振れて力を持つイノセンスは、じつに草なぎ本人に合っていて魅力的だったと思う。そういえばここでも堤が共演していた。




船のへさき


私はいわゆる遅い子供で、うちの母は大正12年生まれである。戦時中に女学生だったわけだが、通っていたのはアルゼンチン系のカソリック修道女たちがやっていた学校だった。
つまり、大勢翼賛とは無縁の価値観が生きていたところだ(今思うと、そんなところに娘を入れたじいさんが興味深い)。
ときどきやってきた神父はドイツ人、もちろん彼も当時のドイツの国家体制とは無縁の価値観に生きていた。
アルゼンチン系、というあたりが、よかったのかもしれない。シスターが弾くギターに合わせて賛美歌を歌ったり、誰かが聖書を朗読するのを聴きながら刺繍をしたりしていたらしい。


ときどき憲兵がやってきて、校長に教育勅語を暗誦させる。
一字でも間違えたらひっぱる勢いだ。
それをアルゼンチン人のマドレ・エルネスティナが完璧にやってみせる。

これは生徒たちの前で行われたらしく、「外国人にあんな難しい日本語を言わせるなんて!」と、母は内心憤っていたらしい。こういうのこそ「むかつく」というのだね。


戦争中の娘であるから、その校長にこう質問したそうだ。
「神様がいらっしゃるのに、どうして戦争をお止めにならないのですか?」
校長はこう答えたそうだ。
「神様は人間に、意志力をお与えになりました」


すばらしい答えだと母は思い、この話を聞いた私も子供心にそう思った。
(ところがこの話をすると、いやな顔をして「宗教ってそういうああ言えばこう言うでごまかすんだよね!」という日本人に何人か会った。悪いけど、そういう反応をする人は、自分で意志を持ち意志を持って行うという覚悟のない人だと思う)。


マドレ・エルネスティナは、ブエノスアイレス生まれ。子供のころに日本のキモノをもらったことがあり、それで日本にあこがれてやってきたのだそうだ。
当時、船に乗って南米から遠い距離をやっていたわけだが、その出航のとき、黒い修道着を着た彼女は船のへさきに立って両手を広げた。
長い衣がなびいて、飛び立つ鳥のように見えたそうだ。


そうやって飛び立ってやってきた日本が戦争に向かい、そこで潔く生きた人である。


なので、映画『タイタニック』は見る気になれない。
宣伝だけで映画を評価するのはいけないとは知っている。
でも、後ろから男に支えてもらってきゃはは〜とか言ってる小娘が、飛んでるつもりになってんじゃねえっ…って思っちゃったりする。
会ったことのない故マドレ・エルネスティナはきっとそんなことにこだわらない。
でも私は彼女のような境地に立っていない俗人なので、こだわるのさ、ごめんなすって。

団十郎という役者


当代市川団十郎である。
海老蔵の負傷に関する会見を見ていて、舞台の彼の特質そのままだなあと思った。


komugiko00的に最高の団十郎は、「吃又」である。
のろまで誠実。
ほかの誰の吃又よりも、団十郎のほかのどの役よりも、その役柄が際立った舞台だった。
団十郎の名前を継いだので、派手で大柄な役が多いけれども、この人は本当は、こういう役にリアリティのある光沢を見せることのできる役者なんだなと思った。たぶん、本人がこういう人柄なのだとも。


こういう特質がよく働くとは限らない。「加賀見山再岩藤」の岩藤の時には、もう、違う演出なのかと思うぐらいだった。
岩藤は局だけれども、怖い悪役なので、普段立役の役者が演じる。団十郎も体格からすると十分圧力があるのだが、どうしても悪人に見えない。
komugiko00が観たときにはお初が玉三郎だったのだが、これもある意味にあわない配役で…。
どう見えたかというと、「粗暴だが不器用で根は悪人ではない岩藤が、忠義という大義名分を持った、狡猾で野心的なお初にはめられた話」……ちがーう(^^;;;


団十郎の弁慶はいい。型、動きは最高である。
ただ、声と口跡の悪さはひどい。あれが「まぬけ」に見える一員だとも思う。
弁慶だと、舞の間はかっこいいので、ついこちらも夢中になって音声の欠点を忘れている。で、セリフにうつる第一声で、「あああああ(ガタガタガタ)」とずっこけてしまうのだ。
団十郎の声と口跡の欠点は、子供のころの病気のせいだとも聞いていたので、じゃあ海老蔵はだいじょうぶなんだろうと思いきや、声は悪くないが口跡はもごもごと籠もっていて、非常に残念だ(音声が悪いんだから、それこそ顔は命だよ、エビくん)。


色悪も悪くない。誠実でまぬけな感じがしつつも、役者としての「つや」はあるのだろうな。あの目眉や動きのよさで、それらしく見える。音声は、常時聞こえていると逆にこちらも「そこには注意を払わないようにする」ことができるので、まあ、なんとか。


で、会見に戻ると、団十郎の「のろまで誠実」な感じが、状況に向いていたと思ったりしたのだった。



海老蔵は、父親の病気のときに役者としての自覚がはっきり変わった。それ以降、ちゃんと次期団十郎としてやっているんだと思っていたので、今回は残念だ。



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