観た!

観客。

「のぼうの城」


映画を観に行った。テレビCMに釣られた、たまたま平日が完全オフになった、から、というかるーい気持ちで。

おもしろかった。エンターテインメントだね。
野村萬斎は適役だった。komugiko00的には、今まで見た中で一番しっくりきた(もちろん、狂言以外でね)。
彼の、どこかで人を食った感じ、腹の座った感じがよく生きていたし、狂言師としての技術もちゃんと生かされていた。
これを見ると、以前見てしまった、日本語のわからない外人監督の「ハムレット」なんかごみだったことがわかるよ。


役者はみんなよかった。
しかし、「怒鳴る」ところは、録音・スピーカーと言う機械を通してさえ、市村正親野村萬斎が別格だった。ぜんぜん。舞台のために若いころから鍛えた声がいかに格が違うか、よーくわかった。
内容的には、甲斐姫が、伝説よりもふつうに女の子女の子していたのは、イマドキなんだろうな。女将軍の話を書く気がなかったのは、原作の意図かな。まあ、甲斐姫にめだたれちゃったら、のぼう様が目立ちにくくなるよね。配役も、体つきはきりっとしてるけど顔と声が子供っぽい女優を選んでいるしね。


水攻めのシーンとか、映像は迫力あったが、正直komugiko00的には、そういうのはわりとどうでもよい。文字だけから映像イメージかなりできる方なので、わざわざ映してもらわなくても、とか、映した方が、スクリーンのサイズになるから小っちゃくなっちゃうとか、いわゆる「迫力ある映像」作品見るたびにそう感じちゃうわけだが。
shinbashiは行かなかったが(オフじゃなかったし)、あっちは、特撮好き(原義の「特殊撮影」好き)なので、技術そのものを楽しむという見方をするから、そういうタイプの人は楽しめるんだろうな。

原作の小説では、「のぼう様」は、大男だ。身長も幅もあり、無表情でぬおおおっとしている。無表情なのに、周りの人間んがこの男がいつも「へらへら笑っているような印象を受ける」とある。
萬斎では小さい。細い。ただ、見た目ではなくて、その「印象」を抽出すると、あの人選になるのだろうと納得がいく。


原作の「見た目」と違うのは、坂巻鞘負もだ。成宮がやっていたが、みためでえらべば二宮だなあと思った。小さくて貧弱な体格で顔が薄い。
しかしこれも、内面的に「小柄だから武勇では大成できない」というスタートのネガティブさを薄くして、「軍略ではおれの右に出る者はいない」という根拠のない自信と、その自信の醸す一種のあでやかさに重きを置くなら、成宮、よし。

みんなが踊るシーンがたくさん(半端なミュージカル、ぐらいの量)入っていたり、萬斎主演を生かす気も出ていて、バランスのとれたエンタテインメントだと思った。


のぼうの城 上 (小学館文庫)

のぼうの城 上 (小学館文庫)