観た!

観客。

幻〜レニー・ウルフのRAINBOW


ひさびさにKINGDOM COMEを聴いた。1stね。
いい声してんなあ、つくづく。


以前も書いたとおり、これは80年代深夜のカウントダウン番組の一瞬で捕まえたバンドである。
あのラインナップの中では少々異質な、間遠なドラム、急がないギター、余裕かましてるボーカル(と聞こえた)が、ぽろっと転がり出てきた、という感じだった。
そういう意味では、彼らのアメリカでのヒットのエピソードを繰り返した感じ(あるラジオ番組でかけたら、「今のはだれだ?」と電話が殺到して一夜にしてヒットしたとか言う)。


んで、アルバム買って冷静に聴くと、非常によくできた、LED ZEPPELINのフォロワーだったわけだ。なかなか気に入って、購入直後はよく聴いていた。

しかし。似すぎていたのか立ち回りが下手だったのかそのたもろもろ重なったのか、まねっことしてバッシングを受けることになる。
ロバート・プラント本人から盗作だと言われ、「レッド・クローン」とかいうあてこすりの曲まで作られて(ゲイリー・ムーアとかオジーとかイギリスの有名ミュージシャンたちがやっていたので、ボーカルのレニー・ウルフがドイツ人だからかな、とかも思っちゃったよ。後にスコピにはギタリスト紹介してもらったりして関係悪くないみたいだし、そのへんもあるのかもね)。
いろいろ問題はあるのかもしれないが、あれだけの「声」、もったいないだろ、とは思って見ていた。


まあ、そっくりさんではあるのだが、それを離れて、komugiko00はレニー・ウルフの歌が好きである。いわゆるハイトーン系の中で、唯一「好き」である。
なんでだろう?
ハイトーン好きのshinbashiに言わせると、文句なしに圧倒的に声が出る、そうである。
そう、くねくね甘ったるく歌ってるくせに硬質で冷たい感じがし、ナーバスというより骨太な印象さえある。
これは確かにそうで、ライブ版を聴いたら……。ライブではあの細いトーンが出ていなくて、太目の金属質の声量で押し捲り……グラハム・ボネットみたいだったのだ!
うーむ、高音調整できないと、剛速球声であるわけだ。
そのへんが、好きな理由かもしれない。

圧倒的なパワーに裏打ちされ、髪の毛の先まで神経の行き届いた、巧妙至極なツクリ声、それがレニー・ウルフのヴォーカルなわけだ。
よい。


んで。KINGDOM COMEというバンドはいろいろその後あるわけだが、それはここでは書かない。


ただ、その、バッシングの最中に、かのリッチー・ブラックモアが、彼をRAINBOWに誘ったという話をきいたのだ。
さすがだ。
悪評なんのその、いいヴォーカルはしっかり評価するのね。
でも、ウルフの方でことわったそうだ。まあ、わからんでもないが。
わからんでもないが、レニー・ウルフのRAINBOWはきいてみたかったと、折に触れて思い返す。


だって(^^;
レニー・ウルフの声が好きなので、後にもアルバム買ったのだが、ZEPのまねっこやめたら曲がいまいちたいくつなんだよね。ギターは相変わらず焦らない、音がきれいなタイプを選んでいて、いいと思うけど。
まあ、komugko00に退屈でも、あれはあれでいいのかもしれないけど……でも、一度でいいからブラックモアのあのパリっとした曲とギターに、ロバート・プラントぶりっこのグラハム・ボネットみたいなヴォーカルを乗っけてみたかった。
「音」として、ぷっりぷりの海老! みたいな歯ごたえになったに違いない。
……ト、妄想するしかないね。


そう、後に買ったアルバムの、ボーナストラックに、彼がドイツ語で歌っている曲が入っていた。
ドイツ語の「音」が凄くきれい。これからドイツ語で歌えばいいのにと思った。



それから……。
komugiko00は、ラブソング一般がだめである。愛の歌とか虫唾な方である。だが、2曲だけ「これなら許せるラブソング」がある。
人間椅子の「少女地獄」と、kINGDOM COMEの1stに入っていた"What Love Can Be"。
前者はもちろん和嶋の日本語の力(この歌詞をラブソングと呼ぶのは、「ちょっとした誤読」かもしれないけど)。
後者は……甘ったるさの極限状態で、ここまでやればもうえらいわ、という代物。これも、剛速球声がくねくねの極致を尽くすからよいのであろう。


KINGDOM COMEがその後どうしたか、レニー・ウルフがいまでも歌っているのか、いまでもいい声してるのかどうか、そのへんは知らない。


Kingdom Come

Kingdom Come

Twilight Cruiser

Twilight Cruiser