観た!

観客。

友人椅子化その後


さて。人間椅子の『人間失格』を買った友であるが、その後しばらく何もいわなかった。
こちらからつついてみると……
曰く、
「あの人たち、やっぱりライブの人なんじゃない? CDはつまんなかった」
そうか。まあ、ライブがいいのはたしかだし。最初にそっちを聴いちゃうとCDは音も薄いしものたりないのかな。ライブはパフォーマンスやMCも楽しめるわけだし。
と思った。
でも、そのあとに彼女が言ったことがちょっと?だった。そのときは聞き流したけど、あとになって、あれ?と。
曰く、
「私は日本の伝統音楽聴きなれてるから、太鼓は裏打ちなんだよね。あの表打ちのリズムがもうだめ」
え? ライブだってリズムの裏表は変わらないのによかったわけでしょ? っていうことは厳密に打ち方の問題じゃなくて雰囲気の問題かと。それでいったら椅子はたまに裏打ち風混ざったり、なにより全体のあのもたつき方は、まるで裏打ちであるかのような和風テイストを感じさせたりもするんではなかろか。特に初期。いや、komugiko00はドラムの技術的なことまではわからんが、ふんいきさ、ふんいき。

で、このあたりで、賢明なる椅子リスナー諸氏はお察しであろうことを、komugiko00も推理した。「アルバム最後まで聴いてねーんじゃねーの? てゆうか『針の山』までしか聴いてねーんじゃねーの?」
『針の山』は、BUDGIE のカバーなので、椅子の演奏だがもとは洋楽である。テンポも早いし、表打ち(ってゆうのか?(^^;)の「感じ」が強いかもしれない。『あやかしの鼓』まで聴いてこういう評価はないだろう。気に入らなかったとしても、言い方が違うはずだ。あ、それに『針の山』もちゃんと聴いてないだろう。最後の鈴木の「ウ”アッ」は絶対好きなはず(^^;


で、先日彼女がまたうちに寄ったときに、さりげなく聞いてみた。
komugiko00「『人間失格』の最後の曲だけどさ」
トモ「ごめん、じつは最後まで聴いてない」
やっぱりな。曲名は覚えてないようだが、ごく最初の方で「ぜんぜんちがう、つまんない」と止めてしまったらしい。
そこでkomugiko00、「アルバムというはね、ちゃんと構成があって並べてあるんだよ。1曲ずつ全部聞かないで飛ばしてもいいから、構成がわかる程度にそれぞれは聴いてみようね」と、諭す。
彼女は素直に、「わかった」というので、「ここでかけてみようか」ともちかける。聴こうと思って聴いて入りきれないと飽きるけど、ながらで聴いたほうが却って素直に感覚が反応したりすることってあるでしょ。
んで、『あやかしの鼓』からかける。音でかめ。

彼女の反応「いい!」
だろ〜、彼女のセンスでこれがだめなはずはないんだ。『賽の河原』ももちろんいい。てゆうかぜんぶいい。
例の「かっこいい!」が出る。


彼女の自己分析によると……。
「たぶん、家で聴くと、自分が『主婦』なんだよ、これはそういう日常で聴くものじゃないんだ」
なるほど。彼女がうちに寄るのは、ある意味「息継ぎ」みたいなものである。彼女の日常とは違う「テンポ」が必要なのだと以前に言っていた。
だから、うちでなら人間椅子という「非日常」世界に簡単に入っていけるらしい。
まあ、椅子のファンに主婦はいくらでもいるだろうからその職種に一般性はないだろうが、日常とは違う次元に入れる「場」は必要なのかもしれない。椅子初心者が昼間の台所で聴くのは難しいのかも(^^;


というわけで、「お布施はライブだけにして、アルバムはここで聴くことにする?」と言ったら、「うちでもう一度試してみる」と言ってた。ん。一度「CDもいい」という体験をしたら、入りやすくなるかもね。
夜中にヘッドホンで聞くことを勧めておいた。「違う次元に入る『場』」をお手軽に作れる。komugiko00は自宅でいつでも非日常に入れるが(というか日常に自分をつなぎとめておく方が困難なのであるが(^^;)、ヘッドホンは愛用している。ちょっとぜいたくして性能のいいのを買っている。没入できるよね〜。


彼女が、自分で驚きながら、「音楽ってこんなに変わるものかね」という。それほど自宅でCD聞いたときは色あせていたらしい。同じCDが、まったく別物だったのだ。
ん、それはわかる。どんなものでも、受け手のコンディションはあるものだ。komugiko00だって、以前書いたとおり、椅子が聴けなかった時期あるもの。あの落差を体験すれば、彼女の感覚も想像がつく。


さて、彼女の次なる感想はどうだろう。


余談:
彼女は鈴木のヴォーカルを聴いて、「いかにもあの体から出てる感じの声だよね」と言うから、「このころはすっごい細かったよ」と教えてあげる。「え! あそうか、こないだDVDで見たら別人だったよね。 ついライブで見た姿で想像しちゃうからさ。細い頃からこんな声出たの?」
ふーん、なるほどねえ、そう聞こえるか。komugiko00は鈴木ヴォーカル大好きであるが、なにしろ洋楽慣れしているのと民謡や演歌も好きなせいか、「迫力がある」とかは思わないんだよね。声量・声域はあきらかに無いよ(^^; ただ他のだれにもできない発声と謡いまわしができるのだ。でも、なんていうか、すれてない人には「でかい体に似合う声」にきこえるんだなあ、ほうほう。まあ、昔からタテにはでかかったけどね。


人間失格

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