観た!

観客。

特殊撮影

shinbashiは「特撮ファン」である。
ある場所でそう言ったら、ちょっとひかれた。なんかこう怪獣の名前を順番に暗誦するとか家中フィギアだらけとか、そういう話題しか反応しないとか、そういう人のように思われたようである。
あ、べつにそういう人を否定しているわけではないけど、komugiko00はそういう人とは話し合わないし(お互いつまんない)、shinbashiはちょっとちがう。
いや、ウルトラマンの怪獣の名前は全部言えると思うけど。
ちょっと違うのは怪獣の名前といっしょに脚本家や監督や造形作家なんかの話がぺらぺらでてくるところだ。
ちなみにフィギアはない。ウルトラマンのマスクは前あったな(劣化したので捨てた)。
最近、『怪獣のあけぼの』というDVDを買っていた。ウルトラマンの怪獣の造形を担当した彫刻家にして画家の高山良策のドキュメントである。2回ぐらい見たようだ(オマケとしてにレッドキングのフィギアがついていたが、それには興味がないらしく箱ごと放り出してある)。

思うに、shinbashiは原義の「特殊撮影ファン」なのだな。
特に円谷英二は別格で、彼が戦犯とされた戦前の映画『ハワイ・マレー沖海戦』も持っている。

ずいぶん昔だが、いっしょにヒッチコックの『鳥』を見たことがある。どちらもそれ以前に見たことがあったのだが、その日はビデオを借りてきて見ていた。
すると、あの、空に鳥が異様に集まる場面になった。不安感を煽る名シーンである。
ああ、やっぱり怖いなあと思いながらkomugiko00が見ていると、shinbashiが感に堪えないような声で言った。
「きれいな合成だなあ!」
え?
「合成だよ。これ、実写に絵を重ねてこれだけの数にしてるんだ。白黒ならではの技だけど、うまいもんだなあ」
そ、そうだったのか。
いや、鳥がこんなに異様に集まるのって……どうやって撮影したのか考えたこともなかった。


そう、shinbashiはそういうところに興味があるのである。だからその種の資料本などは好きで読むし、映像をみればそういうところに目が行くし。
そういえばkomugiko00は、映画黎明期について書いた文章で、小さなスタジオで大洪水の撮影をした話は面白く読んだことがあるが、それくらいである。

だからshinbashiは、たとえばウルトラマンを見ていても、怪獣もストーリーも好きだが、ミニチュアの町のつくりであるとか、それが壊れたり燃えたりするときの技術であるとか、そういうところも大好きなのである。
技術フェチ。アイディアフェチ

shinbashiのお気に入りのアイディア&技術で、komugiko00もお気に入りなのは、円谷英二がやったものである。
軍艦をミニチュアで作るわけだが、それを水槽に浮かべても、水の動きに対していかにも軽い。そこで、寒天で海を作って、重く見えるようにした。←おもしれー!
ほかにもいろいろなアイディア&技術があるわけで、いまのようにコンピュータなどないころに工夫している分だけそれはおもしろく、shinbashiが円谷にはまる気持ちはわかる。


最近はテレビドラマでも何気に特殊撮影というか合成というか、特殊技術が使われている(shinbashiがそういう)。コンピュータ処理がじつにナチュラルになったからね。
2006年5月、ナベプロの創成期を描いたドラマ『ザ・ヒットパレード』が放映され、それをいっしょに見た。昔の町並みを地味な会をしながら歩く普通のシーンでshibashi、
「おおお、合成がきれいだ」
え?
「昔の町並みは絵じゃないか。全部作ってるわけないだろ」
そりゃそうか。
今の月9『のだめカンタービレ』はあきらかに特技満載だが、そのたびにshinbashiは反応する。ふつうの恋愛ドラマを見ていても「こんなところでこんなことが!」とか言ってるし。こないだの『西遊記』なんかでは「あそこで使わなかったくせにここで使うのか」とか言ってた(西遊記はたぶん堺主演時のテイストを踏襲するためにあまりつかわなかったのだと思うが)。

komugiko00自身は技術に目が行くことはついぞないが、shinbashiのそういう「目」がおもしろいと思うので、見ている最中に騒ぐのは歓迎である。


ハワイ・マレー沖海戦 [DVD]

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鳥 [DVD]

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