観た!

観客。

弁天小僧


昨日の「情熱大陸」で、七世尾上菊五郎をやっていた。
菊五郎といえば弁天小僧で、もちろんその話題は一つの芯になっていた。


komugiko00は菊五郎の弁天小僧は3回ぐらい見たが、近年は見ていなかった。
テレビの画面で例の「知らざあ言ってきかせやしょう」を見たが…60過ぎて、声は少々太く、お顔の周りのお肉はたっぷりになったが、持ち前の「色香」はちゃんとあるとお見受けした。


芸の力と舞台の結界があれば、いまでも立派に弁天だろう。テレビ画面ではちょっときついけどね。


ある時期以降見ていないのは、最初に見たときが最高だったと思ったからだ。
当時アラフォーだった菊五郎は、ある意味一番いいとき。芸に脂が乗って、体が衰えない円熟期だ。
きれいだったよねえ、声もよかったよねえ。
中世的な魅力という点では、当代ではこの人の右に出るものはない。
弁天小僧が女の襦袢の上に男の羽織を引っ掛けて、島田を豆絞りで隠して去っていくところなんかねえ。もちろんそういう設定自体がすばらしいのだが、それをかくも素敵にやってのけるかと。
弁天小僧は、色っぽくなければいけないが、同時に子供っぽくなければならない。それがこの人が演るとまさにそのとおりのところにくる。


あのときの舞台が最高だった理由はそれだけではない。このときの南郷力丸を、初代尾上辰之助がやっていた。
これがまあ、いなせな役者で。声がよくてせりふと動きの切れがよくて、名コンビでしたね。
辰之助が早くに亡くなったので、この組み合わせは早々に見られなくなってしまった。


あんなすばらしいものを見たから、もう見なくていいや、と思っていたら。
さすが日本国営放送、映像を収録してあった。
DVDを買った。映像にしてしまうと舞台の結界はキレてしまうのだが、それでもいい舞台だったことを再確認できた。


歌舞伎のいろんな要素が盛り込まれているし、初心者にもお勧め。