観た!

観客。

『真夏の夜の夢』ツアー:青森

あの「音」をまた体験するために、次も青森まで行きたいと思った。


8日の朝は台風一過の晴天。東北新幹線が青森に入っていく。森である海である。あおもりだあおもりだと内心静かに盛り上がる。以前岩木山を歌枕と書いたが、青森県自体が歌枕だからね。天橋立を見たときと負けず劣らずのうれしさである。ただの森と海で。


青森について、ホテルに荷物を置いて、ライブハウス青森クォーターをめざす。
東京のなじみのライブハウスならいつもぎりぎりで入るのだが、方向音痴が怖いので、余分に時間を見て行ったら……あらら、着いたら会場時間微妙に前で、入り口前に人が並んでいる。おっとしまった。
早く来るの好きじゃないんだよね、整理番号順に並ぶのとかめんどい。……だが、よく見るとあまりたくさん並んでいなくて、もう整理番号云々の様子でもないので(並んでいる人はたぶん番号順かもしれないが)、そのまま入る。
うーむ、場所はどこでも好きなところを選び放題である――komugiko00的には。ステージ前3列ぐらいはすでに埋まっているが、そこは選択肢にないので。「いつものところ」地帯の真ん中寄りに立ってみたが、なんか手持ち無沙汰なので少し端に寄る。
流れている音楽の中では、"IRON MAN"と"FAR BEYOND THE SUN"にちょっと反応。


会場が暗くなり、SEが始まって、前座の「毒達魔具達ドグラマグラ)」が登場。客席はなかなかの反応である。アマチュアコピーバンドが前座って、奇天烈にも暢気な事態で、ある意味青森の椅子らしいじゃないか(←あまり根拠はない、なんとなく(^^;)いきなり『戦慄する木霊』、おう、そういう選曲か。なかなかさまになっておるではないか。そのまま2曲目のイントロ……ツボ! 『暁の断頭台』。MCはさんで『桜の森の満開の下』。んーーー、komugiko00の「椅子で一番好きな曲」の一つ(いくつあるんだ?)。
演奏はちょっとライブ的アレンジなど入りながら、とってもまじめなコピー。うんうん、正しいアマチュアコピーバンドで、なるべく身びいきしないで聴こうと思っていたのだが、好感が持てる。歌詞とんだりしたのもご愛嬌。本家もたま〜にやるし、コピーってことで(^^;;;;;
見た目の感じでは、「引き気味」じゃないギターと、ひたすら福福しいベースと、きちんとした髪型のドラム。このへんも楽しい。
正直、好きなバンドのライブは完全単独の方が好きさ。でも、何事も、「前代未聞」の事態は「おもしろい」よ。コロンブスの卵だしね。それを見物したい気が、今回の青森行にはちょっとあったので、満足。


ドグマグメンバーも手伝いながら、ステージの入れ替え。客席の布陣も少し動く。
あのねえ、この日椅子のライブではkomugiko00的に理想的なポジションがとれたのだ。しかも、ライブが進むにつれて、周りの人の立ち居地が微妙に変わって、どんどん注文どおりになっていったのだ。
komugiko00の好きなポジションとは。前のほうに「動く」客層があって、後ろのほうに「動かない」客層があるでしょう? その後ろの層の一番前。そして、二つの層の間に空間ができていること、なのだ。
最近の東京のライブは、めでたいことではあるが客がぎっしりで、その層の分かれ目を見切ることができても、「空間」がないことが多く、この理想の位置がとれないのだ。なぜこの空間が重要かというと……。
音は振動であるという物理を、体感できるからだ。体が共鳴版になる。


たぶん、青森クォーターの音響もよかった。空間との相乗作用で、きれいに振動を感じることができた。
それがあまりに心地よかったので、まずなるべく動かないようにした。「動かない層」にいると言っても、多少はリズムに乗ってしまうのだが、それも抑えた。自分が動いちゃうと、自分が振動を作っちゃうから。動かないで、ステージから来る振動だけを埋めとめるようにした。
それから、ギターソロのところでは目をつぶった。
おもしろい。五感の受容器官の一つを閉じるか開くかで、ほかの感覚がこんなに違うのだ。
視覚を閉じると、聴覚はもちろん、触覚が段違いに開く。
だんだんヴォーカルの入るところでもところどころ目を閉じるようになり、しまいにほとんど目をつぶっていた。


バスドラは、畳み掛けるところでは左肩にぶつかってくる。重く踏むところでは文字通り腹に響く。ほかの太鼓は音色によりリズムによりあちらこちらに点滅する。
ベースは、胸骨を中心として、骨に響き、骨を伝う。
ギターは……その第一弦ほどのストリングとなって、こめかみのあたりから入って細胞の間を縫い、すり抜けてまたもどり、輪を作って抜けていき……。


それぞれの楽器の構成や絡み合い背き合いが、空間的にも体感的も立体的に伝わってくる。


ライブが進むにつれて人の移動で前の空間が広くなっていき、もう頭の先はもちろんつま先まで振動を感じられるようになった。
ライブの大きな楽しみである、鈴木のパフォーマンスを「見る」ことと両立しないのが残念なところだが、それだからよけい、最高に「贅沢」なライブの楽しみ方である。


おそらく、ライブハウスの音響と、客の布陣との二つの条件がそろっての贅沢だと思う。このために、次回も青森クォーターに来たいと思った。






(↑まじ個人的「感想」だなあ(^^; セットリストやMCはほかを当たってくだされ(^^;)