観た!

観客。

あべ夏子個展 おまーじゅ

谷中にある猫町ギャラリーに行ってきた。
初めてであるが、話には聞いていた。
古い東京らしい谷中あたり。江戸川乱歩縁でもあるそのあたり、古い石段をのぼったところに二階家があり、ギャラリーというより個人の家のようで、ちょっと入りづらい……。
そのとおりの場所だった。
石段は、ヒールだったりしたらちょっと怖いかも。

猫町は、猫関係のアートのプロジェクトで、さまざまな技法の作家が「猫」という共通項で作品を寄せている。

あべもその一人。
簡単に言葉でゆっちゃうのはどーかと思うがゆっちゃうと、ファンクでパンクでちょっとシュールな「生」の作品。人によっては「性」に着目するかもしれないが、それも「生」のうちだよん、っていう。

内向しつつおおらかで、解放しつつ屈みこんでいる……。
きまじめな人間だけがもつはっちゃけ方……。
ま、そんなふうにいつも感じるわけだが。

今回の展示は、作家が飼ってきた猫たちへの「オマージュ」そのもの。
展示室に入ると、右側と左側で内容がわかれている。

右側は、実際の猫たちの立体の肖像だ。「生きているような」リアルなものから、イメージを生かしたデザイン的なものまで。
肖像に添えられた言葉を読むと、あべがそれぞれの猫たちをいかに愛したかがわかる。
愛したものの像を描くというのはしたことがない。
少し怖い気がする。
あべの肖像は美しい。それぞれの猫の個性を出しつつ、美しい。ファンクな猫も、端正な猫も。
いつもの作品(前のは写真しか見たことないのでえらそーにいえないが)よりも静かなのは、思い入れゆえに必要だった距離感か、それともほかの理由か、たまたまか(^^;
リアルな猫の肩の辺りが、猫好きにはたまらん。
4本の足がエッシャー?っていうかんじで絡んだ黒猫、半分黒くて半分白くてトカゲをとまらせた猫もすき。


左側は、肖像でない猫たち。
丸くなった胴体と頭が分かれるように作られ、頭の置き方で表情が変わる作品は、おもしろい。たのしい。かわいい。ちょとヘンな顔だったりすると、よりかわいい。
今回はここに一体だけ、「生〜性」な作品があるが、その目と唇(ねこなのに)を見ていると、つい「ぷっ」と吹きだす。
「猫足」も好きかも。二匹の猫がならんでいる。上半身が猫。下半身は、一匹は(人間の)右足、もう一匹は(人間の)左足。いたってのどかの表情。

触れるのが最後になったが(^^;、作家にはおおいなるおまーじゅであるはずの作品、クイーンのフレディ・マーキュリーのエンブレムを、あべなりに立体化した大作がある。
私もロック好きだけど、どっちかっていうと、パープル〜レインボーとか、プログレとか、ブラックサバスなのでちょっとお隣さんなんだけど。それはともかく。
作品としてしゃれている。
肖像の猫の一部にもあったのだが、油彩画のように粗めの筆のタッチを残した彩色が魅力的だ。


風情あるギャラリー、強烈でシャイな作家が迎えてくれた。







あべ夏子HP  猫変化

猫アートサイト 猫町プロジェクト