観た!

観客。

「パソコン」を説明する


komugiko00は最近英会話を習っている。友人の友人のカナダ人から一対一で。二人の都合の会うときなので、月2〜3回というところか。彼女は日本語がほとんどできないので、たいへんよい練習になる。


先日のレッスンが終わって雑談していたとき。ちょっとだけ日本語をかじり始めた彼女が聞く。(以下英語の会話)。

Canadian「日本語ではなんでpasokonっていうの? computerでしょ?」
komugiko00「それは、personal computerの略語」
C「え???」
K「日本語では、単語の最初の2文字をとって、二つつなげて4文字の略語にする」
C「2文字? 4文字じゃないの?」
K「あ、そうか、日本の字で2文字、つまり2シラブル」
C「???」
K「ひらがなは習っているよね? カタカナもまったく同じなんだけど、日本の文字は1文字1シラブル」
C「それはわかる」
K「(紙に書く) personal computer はこうでしょ、これを日本語の発音で書くと、pasonaru konputa。これをカタカナにすると、1シラブルが一文字で、paはパ、soはソになる。で、『パーソナル コンピュータ』これの、2シラブルとって、『パソ コン』」
C「あなたさっき4シラブルって言わなかった? これ、3シラブルでしょ?」
K「あ、うんうん、日本語で、『ん・ン』の文字の音、それは英語のnと違って1シラブルに数えるの。(一音ずつ指を折る)パ・ソ・コ・ン」
C「そうだったんだ! おもしろい!」
K「日本語にはこういう略語たくさんあるよ。……エアコンとかair conditioner」
C「(少し考える)あ〜、そうかそうか」
K「ポケモン知ってる?」
C「ポケモン? 知ってる」
K「北米でも流行ったよね? ポケモンはね(書く)pocket monster」
C「え! ええ? それがポケモンのlonger nameなの?!」
K「そう。これを日本語の発音で書くと、poketto monsutaでしょ。カタカナを当てはめて、最初の2字ずつとると、ポケモン
C「ええー! それがポケモンなんだ、ぜんぜん知らなかった! 帰ったら夫に教えてあげよう。面白い!」


ウケたようでうれしい。
こちらの発見は、「ん」が1シラブルであることはきちんと説明する必要のある認識だということ。shinbashiはこの点を「面白い!」と言っていた。


ちなみに、ポケモンを例に出したのにはレキシがある。
それこそパソコンとか、外来語を日本式の略語にすることについて、ずいぶん前にツッコミを読んだことがある。曰く、英語ではPCなどイニシャルは使うがこんな略語は使わない。英語では通じない。
まあ、「和製英語」とか英語起源の外来語の日本での使用法についてはよく言われた突っ込み方である。「英語では通じない」だからだめだ、という文脈。


それが、何年か前komugiko00がアメリカ旅行したとき、ちょうどポケモンが流行っていて、アメリカ人がポケモンポケモン、という。向こうで知り合う人たちが、日本人と見ると、ポケモンおもしろいね、ポケモンかわいいね、うちの子がポケモン大好きで、と言ってくるのだ。
つづりは忘れたけど、Poke-monとか言って輸出したんだよね日本から。
それ、もともとエイゴなのを日本式の略語にしたやつじゃん。「英語では通じない」やつ。
もちろん通じない。アメリカ人はそれの元の意味なんか何にも知らずに、ポケモンといういうものだと思って受け入れている。
英語では通じない、でもだめじゃない。
文化と経済の力ですよね、言語の勢力はつまり、と思ったのでした。あとは関心と許容かな。


ポケモンという単語の由来を聞いて、彼女は「おもしろい、おもしろい」と喜んだもの。そんな略し方英語ではいたしませんわ、なんていわなかったもの。