旧友ロック化計画２

例の旧友はまたやってきた。
わりと近所なのでわりとちまちま来るのである。

どれにしようかな、と、抜き出した一枚は……。
"ROCK SOLID GUITAR" David T. Chastain
ををを〜！　と内心思ったが、黙っていた。最近は聴いていなかったが、好きな一枚である。

しばらく聴いて友は言った。
友「この人うまいよね」
ko「ん？　うまい……うまい、よ」←基準をどこにおいていいかわからない（＾＾；
友「こういうのがうまいっていうんだと思う」
ko「うまいっていう意味によるかな。もちろん巧いけど、技術的に言ったらこないだのハウやコッツェンもうまい。てか、あっちの方がうまいかも」
友「こないだのとちがう、こっちのほうが伝わってくるものがある」
ko「あ〜、あっちの方が曲調も弾き方もはっきりすっきりしてるよね」
友「そうそう、あんまりすっきりしててもね。どんよりしてないと」

さすがだ、トモよ。
あ、でも（＾＾；　彼女の夫君はジャズが好きで大量のＬＰ＆ＣＤを持っている。たまに彼女が「これいいね」と言ったら、「え？　これがいいの？　この人音痴だって言われてるんだよ」といわれたそうだ。Chastainも、音痴とは言わないが、こう、ずれながらつじつま合わせる感じがあるので、「音感のいい人はキモチワルイだろう」（shinbashi談）という部分もあるのだが。いや、そこもいいんだけどね。

友「この人、あの人と似てるよね、マーティー・フリードマン」
ko「……あ、そうか、テレビで日本の曲のロックアレンジしているヤツね？」
友「そうそう、こないだのもすごくよかった」
ko「そういう意味ならテイスト同系かも」

おーい、そういうところ気に入ってるなら早く言えよ〜。エアギターとメタルマクベスだったから、こう、ハデできれいめなヘビメタがいいのかと思ってたよ。どんよりがいいのか。……考えてみれば、彼女のほかのジャンルの好みからすればありえるよな。ただ、ロック系については今まで壁のある感じだったので、なんつーか、「一般ウケ」みたいなことを考えてしまった私が悪かった。

そして、私がちょっと席を外したときに、背後で彼女の声が聞こえた。
「次はこれにしよ。ぶらっく、さばす？」
ああ、来たか、サバスのお気に入りはアジトのほうだけど……と思いつつ。部屋に戻ろうとしてかすかに聞こえるヴォーカルが高音に伸びがある。あれ？
なんと彼女が聞いていたのは、
"THE RAY GILLEN YEARS"
すみません、ごめんなさい、ブートレグです。１５年ぐらいまえに新宿のアノヘンで買いました。
レイ・ギラン歌うサバスは、オフィシャルでは出ていない。アルバムのデモまで作ってクビになり、数年後に急死。このブートは、前半がライブ、後半が問題のアルバム"THE ETERNAL IDOL"のデモ。
友は「ライブアルバム」というものも初めてらしく、「歓声とか入ってて臨場感あっていいね」という。そして……

「これ、こういうのが、私のヘビメタのイメージだよ」

！！！ぶらっくさば〜す！　←これ以外の間投詞はあるまい。
ko「ヘヴィメタルのサウンドの起源は、このバンドだと言われているんだよ」

彼女は、曲調・サウンドが好き＆レイ・ギランのヴォーカルが「ヘビメタ〜っていう感じ」と言っていたので、それは８０年代〜９０年代感覚かな、それだとオジーだとどうなるだろう、とかごちゃごちゃ思いつつ、「あの」イントロが聞こえてきたときにはkomugiko00、もう冷静さを失っておりました。
彼女がジャケットを見て、「ブラックサバス……バンドの名前と同じ曲なんだ〜」なんぞと言ったので、思わず。「ん、ファーストアルバムが『ブラックサバス』で、その最初の曲が『ブラックサバス』なんだよ」ト、立て板に水。
そしてアジトへ飛んでいって、アルバム二枚持参。
ko「これがそのファーストアルバム。これは、二代目ヴォーカルがこの曲歌ってるライブ」
友「ＣＤショップの店員さんみたい（笑）」
ははは（＾＾；

そして友はその２枚をリビングのラックにきちんとしまいながら、「また来る。今度はこれ聴く」と言って帰っていった。

しかし……レイ・ギランのブーからBLACK SABBATH入門するのは、世界でも類を見ないのではないかいな（＾＾；　
もしもkomugiko00のオススメで構成していたら、ここから入ることはありえないし、ベスト１００でもこのブーは入ってこない。
運命ですなあ。なりゆきまかせにしていたおかげで、こちらもおもしろい思いさせてもらいました。