観た!

観客。

リフ好き

昔々、小学校高学年の頃だったと思う。
高原で過ごした夏休み。
歩いて程近いところに、「スケートセンター」という施設があった。もともとはスケート選手のためのスポーツ施設だが、観光シーズンはリンクを一般に開放し、レストランやゲームセンターもおいていた。ある日、そこに、イトコたちと子どもだけで遊びに行った。
当時スケートセンターではお盆の時期かなあ、夏祭り的なイベントをやっていた。野外ステージを作って、生バンドでそれほど売れていない歌手の歌やお笑いがあって、司会者だけはわりと有名な人だったり……らしい。それに連れて行ってもらったことはない。芸能好きのイトコは行きたがっていたが。


でまあ、その日はそのイベントの前日だった。
たぶん、その芸能好きのイトコが、せめて設営されている舞台などを見て気分を出したくて行ったのだと思う。


ここからは記憶が鮮明だ。
私たちは無人の観客席の後のほう、高い位置からステージを見下ろしていた。
ステージの上にいたのは、3人。
思えばこれが、komugiko00のロック初体験であった。そうかー、最初が生音だったんだ。しかも高原の広い人口湖上の野外舞台。うわあ、今だったらたまらん。
それは奇妙な音楽だった。楽器が三つしかなくて音の種類が少ないし、「短い同じメロディー」をひたすら繰り返している。
その繰り返しにわくわくしつつ、電気楽器の音色にもわくわくしつつ、ずっと座ってみていた。
一つの「短い同じメロディー」がものすごく気に入った。
それで、演奏をやめて舞台を降りたその人たちのところに行って、聞いてみた。komugiko00は人見知りなので、ふつうそういうのはありえない。たぶん夏休みの気分と、社交的なイトコのおかげでそんな芸当ができたのだ。

「さっきやってた、こういうの(歌う)、なんていう曲?」
「POLITICIAN」
「え?」
「ぽりてぃしゃん。政治家っていう意味」


東京に戻ってから調べて、"Politician"はCREAMというイギリスのバンドの曲だとわかった。
カバーというより、記憶によればコピーだったと思う。彼らがあの曲をイベントで演奏したのか、それともたまたま遊んでいたのかはわからない。


さらに少し後、あの「短い同じメロディー」を「リフ」というのだと知った。
リフが、「好きな曲」を嗅ぎ分ける最大の基準になった。お気に入りのリフが続くほど心地よく、途中で展開すると、またリフに戻るのが待ち遠しかったり。戻んないのかよー! と思ったり。リフメイカーという言葉があるが、こちらはリフリスナーである(^^; いや、もっとちがう聴き方も覚えましたが(^^; 


このリフ基準聴きは、後年人間椅子にも反応した。リフかっこよすぎるだろ、『陰獣』。


7月末に東奥日報人間椅子の記事が掲載され、それを他所様のご厚意で見せていただく機会があったわけだが、そこで現ドラマーのナカジマノブがこんなことを言っていた。曰く、人間椅子の曲作りで驚いたのは、「かっこいいリフ」からはいること。コードやメロディーからじゃない。
ここを読んでkomugiko00が驚いた。ロックはリフから創るもんなんだと思っていたのだ。かっこいいリフがあって、そこに乗っけたり展開したりするんだと思っていた。んー、これが自分の思い込みなのか、なにかそういう情報があったかは不明。
そうなんだ〜、それがふつうなわけじゃないんだ〜。




ちなみに、"Politician"のリフは、今でも最も好きなものの一つだ。





クリームの素晴らしき世界

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