観た!

観客。

『サーカスの科学』大槻義彦

先日、「世界の果てまで行ってQ」という番組を見ていた。
最近テレビで内村を見られる貴重な番組であるが、これが好きかというと微妙である。コンセプトはおもしろいが地上波の限界が……というのは今回本題ではない。
その番組で、なが〜いヨーヨーを、深い谷間でやる、という企画をしていた。んで、ふつうのヨーヨーでは軽くてその長さでは反動がつかないので、じゃあ、どれくらいの質量のヨーヨーを、どれぐらいの力で落とせばいいのか、とかいうのを計算していた。でんじろうさんが呼ばれていた。komugiko00はでんじろうさんは好きである。好みのタイプだ。でもそのときに、ふと思ったんだよね。


komugiko00「これ、大槻教授に計算させればいいのに、まああの人だと、論理上可能だけど現実ではどうでしょうということもやるけど」
shinbashi「じゃあでんじろうさんでいいんじゃないか。これはじっさいにできなきゃいけないんだから」


まあそうなんだけど。それに大槻氏だって現実に可能なものは可能なものとして計算できるだろうけど。
なんでkomugiko00がそんなことを考えたかというと、以前読んだ『サーカスの科学』という本を思い出したからだ。
いつもキオクで書いている「書籍」の項目であるが、これもキオクである。図書館で借りて一度読んだだけであるが。
講談社ブルーバックス、つまり高校生程度の初心者向け物理学の本である。komugiko00は高校生卒業後だいぶたってから読んだが、もともと物理&数学は点数が低かった上に、それらを使う生活をしていなかったから、高校でやったことはいろいろ忘れていた。でもまあ、知識は錆びても、人間には思考力はあるからね。ごく一部の式以外は思考力があれば読めるように書かれている本だ。
てゆうか、式が何を意味しているかを、前後に日本語でていねいにわkりやすくストーリー的に書いてある。逆に式を理解できる人には同じことを二度言われているようなものだな(あ、それにたしか縦書きだった。この時点でもう、日本語の「読み物」として作られていることがわかるにゃ)。


で、komugiko00はこの本が好きである。なぜなら、バカだからである。
どうバカかというと。
なんといってもすばらしいのは、「だれでも綱渡りができる装置」を考えているところである。
何の訓練もない人間が、綱の上を歩くにはどうすればいいか、どうバランスをとればいいか。
伝統的綱渡り芸人が傘を持っているのは意味がある。猫の尻尾……のことは書いてあったかどうか忘れたが、ともかくそういうものの役割をするものを持てばよい。
だが、訓練を重ねた芸人だから傘でいいのであって、訓練をしていない人間に同じバランスを持たせるには……と考えていく。
で、これならバランスが取れるはず、という特殊な傘が算出されているのだが、これがとてつもなく重く、こんなものをぐらつかずに持てるぐらいなら綱渡りの練習をしたほうがまだ現実的……といえそうな代物なのである。
バカだ。このバカさが好きである。
ふつうの人があれこれ空想するように……部屋の模様替えをああしてこうして、こんなんだといいなあ、んなの6畳に入りきれねーよっ、っていうような、そんなノリの思考の遊びを、物理学でやっている。それが楽しい。


あ〜、物理って、こういう発想、思考なんだって、感覚的に、なんとなく、わかる。