無題
書くべくでないことを書こう。
読むべきでないと思う方はこれ以上進まれぬよう。
ホラー仕立てなわけではなく、現実だから。念のため。
10代の娘が父親をオノで殺した。
そのニュースを見て、内心で快哉を叫んだ。
よくやった。
私がついにやらなかったこと。やるには理性が勝ちすぎ、やるほどの実行力もなく、ただ内心でその殺人を繰り返し続け、実際に対象が死んだ今でも内心の殺人はとまらないそれを、現実にやってのけたこと。
どうして私にできなかったろう。どうして私はしなかったろう。だめなやつ。
だがきっと、実際に殺した後でも、内心の殺人はとまらないだろう。
コロスという気持ちに至らしめるものは、たぶん、何をしても解消しない。
カウンセリングなんかで転嫁してしまうのはいやだ。だから私は内心の殺人者であり続けるし、実際にやってのけた彼女さえ、その至らしめたものからは離れられない。
それを知らない世間の人々はいくらでも、安穏と「わからない」と言っているがいいよ。