『エド・ウッド』
ちょっと前のことになるけれども、komugiko00がDVD見て、「わりとよかった」と言っていたら、shinbashiが、「でもあれエド・ウッドが悲惨になっちゃう前で切ってあるだろ?」 そう。ヒサンな辺りは「その後」的にほかの登場人物とともに写真紙芝居&ナレーションでライトに見せる。これはティム・バートンのポピュラリティー。エド・ウッドに思いいれはあるだろうが、彼とは違うところだろうか。
そういう意味では軽いオマージュに仕上げられている。
shinbashiに言わせると(他の人も言っているかもしれないが)、ティム・バートンは「A級予算のB級映画」を撮る。
本質的にB級好きある彼にA級の予算が降りる理由の一つは「時代性」であると思う。まさにエド・ウッドが「史上最低の監督」として再評価(?)される種類の時代性である。エド・ウッドがもうすこし遅く生まれていたら、という向きもあるかと思うが、同時にティム・バートンがもう少し早く生まれていたら、どうなっていたろう。
まあ、この「時代性」っていうのは、簡単に言っちゃえばカルチャーとサブカルチャーの融合とか、そんな言葉で説明されるようなやつだけどね。
役者はそれぞれ、実在の人物を髣髴とさせるような人選・メイクであるが、やはりマーティン・ランドーがすごい。
shinbashiが昔の連続ドラマ『スパイ大作戦』のDVDを持っていてkomugiko00も少し見て知っていた役者である。shinbashiのうんちくによると、このドラマで人気が出て、4シーズン目に入るとき出演料を吊り上げて干された、とか言っていたな。
しかしこれは名演である。
見ているうちにkomugiko00、
「あ〜、これ撮るときまでベラ・ルゴシ生きてたんだ」
とありえない錯覚を一瞬してしまったぐらいである。
これで助演男優賞もらったのか。アカデミー賞も捨てたもんじゃない。
ジョニー・デップはもちろん適役である。いつものことながら、ヘンな人の役をじつにうれしそうにやっている。でも、写真で見る限り、顔かたちは本物のエド・ウッドの方が「二枚目」だ、正統派の。
でも、これもさすがだなあと思ったのは、shinbashiの持っていた資料本をぱらぱら見たときである。そこにこの映画の写真がいくつか載っているのだが、「ティム・バートンに演技指導されるジョニー・デップ」というキャプションがついた一枚がある。「アンゴラ」を着て、ヒゲに化粧をした状態のデップがバートンの話を聞いているのだが……これがジョニー・デップの顔なのだ。映画の中の「エド・ウッドを演じるジョニー・デップ」ではなくて、雑誌のインタビュー記事の写真や、他の作品で見たことのあるジョニー・デップの顔。エド・ウッドのときはこの「素」がぜんぜん見えていなかった。
最初に書いたとおり「軽いオマージュ」に仕上げられた映画そのものは印象深いとかいう種類のものではないが、登場人物と制作者と出演陣のそれぞれの「愛着」が感じられるような気がして、わりと「好き」な映画である。
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