観た!

観客。

今日は何の日ですか?

母が最初に倒れて入院した冬のことである。
脳梗塞だったので、毎日医師が来ては、簡単な質問をして答えさせたりしていろいろ確かめていく。
大きい病院だったので、担当医は3人つく。筆頭はめったに来ない年配のエライ医師。二人目が実質的な診断をする中堅の医師、3人目が若い医師で、毎日来るのはこの三番目の医師なわけだ。


その日、たまたまkomugiko00がいたときにこの医師が、一人のナースといっしょにやってきた。そして母に質問した。
「今日は何の日ですか?」
母の表情が固くなる。その意味が、komugiko00はすぐにわかったが。
「何の日ですか?」
医師が重ねて聞くと、母は無愛想に答える。
「2月14日です」
「それはそうですね。ほかに何かの日ですよね」
「……」
「ほら、チョコレートとか」
ここで母がキレる。
「知ってますけど、言いたくありません、あんなばかばかしいこと! セント・バレンタインとはなんの関係もないし、イヤなんです!」
それからはっとしたように言葉を止め、医師に聞いた。
「あらごめんなさい、先生もおもらいになります?」


医師の苦笑と看護婦の爆笑。


であった(^^;